信頼関係

休憩中に某大手コミック出版社から電話が来た。
ニュアンスは違うが、
「大阪屋さんに古本を返品された覚えはありますか?」
というものだった。
イヤ、そんな言い方はされてないけど、
ヘタすりゃ、
知らないうちに、そう取られても仕方ない事件やった。
早速、事実確認をした所、
大阪屋の当店管轄の支店が、当店の商品でもない、当店で返品した覚えもない
他書店の返品不能品を

「○○出版社御中 下記のコミックス、スリップなしのため
返品承諾願います。 大阪屋」

てな感じの用紙を作成し、ウチの番線を勝手に押して(ウチの番線は大阪屋の支店にもある)
そして依頼主が、勝手にウチになり、版元へFAXを流しよったんです。
当事者の知らん所で、返品というお金の絡んだ書面が
ウチの印を押され、版元へ流れた。
これはもう、完全に私文書偽造と、版元へ対する詐欺ですわ。


確かに、ウチの店には、倉庫にコミックの古本はある。
3年前から店内での販売はしてない。
まして、取次ぎに返品することはありえないし、
一冊でもそういうことをすれば、ワシは店を辞めざるを得なくなるやろう。
今回の、その本が、新刊なのか古本なのかは、真偽はわからんけど、
どっちにしろ、誤解を招く様な事に、当店は巻き込まれた。


で、なんでこの様な事が起こったかというと、
以前に大阪屋の担当者が、ある他書店から頼まれて、スリップなしのコミックの
返品を受けたらしい。
ほいで、その担当者は返品依頼するために版元へFAXした。
でも、出版社が調べた所、その書店は、
新刊以外に、新古本、漫画喫茶をやってる店なんで、その上、スリップがないから
出版社としては、返品承諾は出来ない、ということで断ったとの事。
これが11月上旬の話。
その時点で、その書店に逆送すりゃいいのに、そうせずに
先週の土曜日に、今度は、その時の全く同じ用紙に、番線だけをウチのに押し換えて
再度、版元へFAXしたとの事。
それを、不審に思った版元さんが、ウチへ連絡をくれたため
それが発覚した次第ですわ。
何が恐いかって言うと、今回は、連絡あったけど、
コチラの知らないうちに、版元に
「あの店は、ちょっとおかしいな」と思われ、
追加注文等をしても、無視されたりする事やねん。
特に、今回の出版社さんは、そういう部分に
非常に神経を尖らせてはるトコやから、
ホント安易な気持ちでやらないでほしい。
大体、なんでウチが、よその書店のケツ拭かなあかんねん!
じゃあ、ウチの店にある逆送品を、仮にジュンク堂さんの名前を借りて
返品許可取ってくれって言ったら、やってくれるんですか?
もしも、やってくれたとして、後でジュンク堂さんにバレたら
どうなるんよ? 黙って見過ごしてくれるんですか?
そんな事をしてしまえば、よく、返品は信頼関係なんて言いますが、
そんなもん崩壊ですわ。
私文書偽造や詐欺やで、と本気で言ってる訳とちゃいます。
版元からの信頼がなくなったり、取次ぎへの信頼が出来なくなったりすることが
恐いんです。


今までずっと、他店で配本事故が起こる度に、大阪屋からお願いをされて
出来る範囲で、微力ながらも調整をしてあげた。
でもその積み重ねが、結局は、なあなあに繋がり、
そして、今回の様な事件に繋がったんであれば、非常に残念な事。